韓国でお正月とお盆の後に離婚が増える理由

こんにちは。パンダ夫人です。

韓国は陰暦で正月を祝うので、今年は2月2日~6日がお正月休みでした。

 

日本でも「義理の実家に泊まりたくない」などストレスがあったりすると思いますが、親族が集まって楽しいはずのこの期間、実は韓国の女性たち、特にお嫁さんたちにとっては苦行ともいえる労働が待っているんです。

 

それが引き金となって、お正月やお盆の後には離婚が増えているとのこと。日本ではあまり聞いたことがないですが、一体どういうことなのでしょう。

 

 

お正月、お盆にすること

お正月、お盆は日本と同じで、長時間の交通渋滞ができても故郷に帰ります。韓国では先祖の命日に料理や旬の果物等を供えて祀る제사(チェサ/祭祀)といわれる儀式がありますが、お正月、お盆にもこの祭祀をして、まず先祖に挨拶することが大きな違いです。

 

(命日にする祭祀は、家庭によって日をまとめたり、キリスト信徒の場合は祭祀自体しなかったりと簡略化されてきています。)

 

祭祀の祭壇

出典:https://blog.naver.com/always516622/221419469508

 

祭祀をした後、先祖に祀った料理を囲んで食事をします。お正月だったら떡국(トックク/お雑煮)、お盆だったら송편(ソンピョン/松餅)が加わります。

 

お正月は目上の人に新年の挨拶(ひれ伏して敬礼する)=세배(セベ/歳拝)をして、目上の人はよい1年になるよう一言、덕담(トクダム/徳談)をして、子供たちには세뱃돈(セベットン/お年玉)をあげます。

 

女性がすること

女性たちは祭祀と親族が食べる料理の準備のために、前日から義理の実家に出向き、ひたすら料理をします。各種ジョン(チヂミ、白身魚や肉団子、野菜などを小麦粉、卵につけて焼いたもの)、天ぷら、ナムル(野菜や山菜のおひたし)、肉・魚料理等。お正月のお雑煮に入れる水餃子やお盆の松餅なども手作りが多いです。

 

それに加え、だんだんと集まる親族に3食を準備し、積み重なったお皿を洗わなければなりません。余談ですが、韓国では他の人の家でもまるで自分の家と同じように遠慮なく冷蔵庫をバンバン開け、どこに何があるか把握していて、公私の境界線がないのが最初はショッキングでした・・・

 

昔は親族の女性が集まって世間話をしながらわいわい作っていたんだと思うんですが、近年は様子が変わってきました。共働きが増えて女性も忙しく疲れていて、核家族が増えて個人主義になってきたため、この女性の仕事を負担に思う人が多くなってきました。 

 

男性がすること

一方、男性がすることは特にありません・・・

あるとすれば、祭祀の時に先祖に大礼をして挨拶するのは男性だけです。(女性は長時間かけて準備しても祭祀は見守るだけ)

それ以外は食べて寝て、テレビ見てゴロゴロしてるだけ(怒)。

 

名節症候群(お正月やお盆に起因する体調不良)

お正月、お盆のことを명절(ミョンジョル/名節)と言いますが、名節になると女性たちが名節症候群と言われる体調不良を訴えることが、かなり前からニュースで知られるところとなりました。

 

シジプ(義理の実家)に遅れて着いたりすると、シオモニ(義理のお母さん)や他の嫁さん方から嫌みを言われるのは覚悟しなければならない。この料理作りが女性にとっては結構大変な肉体労働で、買い物から始まって下ごしらえ、料理作り、後片付けと女性の仕事は際限なく続く。それでなくてもシオモニとはなるべく一緒にいたくないというのが女性すべての普遍的心情だろう。シオモニのそばに仕え、かいがいしく動き回り、周りの嫁さん方と適当に話を合わせながら何時間も休まずに働く。面白い会話もあろうが、たいていは「あんたんとこは、なんでまだ家が買えないの」とか「小遣い、なんでこれっぽっちしか持って来られないの」といったシオモニの嫁イビリめいた言葉たちが飛ぶ。

出典:https://www.recordchina.co.jp/b150801-s116-c20-d1116.html

 

名節が嫌で、そのことを考えると気が重く、名節の前から頭痛がしたり息苦しくなったりする症状や、精神的なストレスだけでなく、実際に何時間も同じような姿勢で料理したりしていれば、腰が痛く、肩も凝る。

 

口げんかする夫婦

 

更には旦那は何もしないでゴロゴロしてるとなれば、怒りやストレスがたまってしまうのは想像できます。(私もたまにパンダ夫を見て殺気立つ時がありました...笑)

 

 お正月、お盆の後に離婚が増える 

名節で女性だけ働き続けて、男性は何もしないことや、義理の実家に行けば旦那は義理のお母さんの言いなり...、あれやこれや今までの不満が家に帰った後に爆発してケンカとなるのでしょう。

 

裁判所行政処から提出を受けた資料によると、昨年(2016年)離婚申請の受付件数は10万8880件で、一日平均298件の離婚申請が受け付けられた。ところが、昨年のお正月とお盆の連休後に、それぞれ10日間は一日平均750件の離婚申請が受理されて、通常よりも2.5倍以上多いことが分かった

出典:https://www.lawtimes.co.kr/Legal-News/Legal-News-View?serial=121470

 

原因となる文化背景

では、どうして時代に合わせて変えないんでしょう?私も変わって欲しいと願いつつ、実際に変えるのはなかなか難しいことを実感しています。

 

目上を敬う儒教文化

韓国でも父親が子育てする長寿番組もあるくらいで、男女の共働きに加え、男性も料理し、子育てする風潮になってきました。がしかし、普段は手伝ってくれる旦那さんでも義理の実家に行くと何もしなくなります。というか、何もできなくなることが多いです。なぜなら義理のお母さんが嫌がるからです

 

韓国では初対面の時にまず年齢を確認するほど上下関係に厳しいのですが、目上の人の言うことは絶対で、目上の人がその家の法、ルールを作っていると言ってもいいでしょう。

 

実は長時間かけて準備する料理もスーパーで売っていたり、注文することもできるのですが、先祖や家族のために真心を込めて手作りするのは上の人の決定だからです。

 

男子厨房に入るべからず

韓国では、男の子が台所に入ると"고추가 떨어진다"(おちん〇んが落ちる)とおばあちゃんやお母さんがよく言ったそうです。(さすが韓国、「고추=とうがらし」が「おちん〇ん」なんですね!)今でも上の世代の人は息子が台所に入るのを嫌がることが多いです。それで、男性は何もしないんですね。

 

うちのパンダ夫もたまに料理をしてくれることもありますが、義理のお母さんの前ではその姿を見せられないそうです。

 

名節症候群の対策法

では、女性たちが実際に体調不良まで起こすほどの名節にはどうしたらいいでしょうか。

仮病をつかう

お嫁さんたちにとっては家族全員が集まる名節に行かないわけにも行かず、でも行けば肉体労働が待っているし...ということで考え出された苦肉の策。

特に演出用の偽ギブスはよく売れたとか。嘘のような本当の話。今でもネットショッピングで買うことができます。

 

注:もうニュースで知られるところとなってしまったため、しない方が無難

 

偽ギブス足

出典:G마켓 http://www.gmarket.co.kr/

偽ギブス手

出典:11번가 http://www.11st.co.kr/html/main.html

 

笑ってしまいますが、ここまでしなければいけないお嫁さんの気持ちは真剣です!

 

男性が態度を変える

ずっと働き続ける女性に優しい声をかけたり、実際に感謝の気持ちを見せるのが一番です。実際に手伝えるところは手伝って女性の負担を少しでも軽くしてあげてほしいです。また、義理のお母さんに助言しやすいのも男性なので、必要なことは進言してほしいですね。

 

実は名節症候群にも長時間運転したり、妻と母にはさまれて神経を使う男性のケースもあるそうです。

 

社会問題として時代に合わせる

最近は名節のたびに名節症候群や離婚増加などを踏まえ、女性が不条理を感じる仕事を男性も一緒に手伝いましょうというようなニュースが流れるようになりました。大統領府がある청와대(チョンワデ/青瓦台)にもこの風習を変えてほしいと多くの意見が集まっているようで、社会問題として認められるようにもなりました

 

実際には各家庭によって違いますが、もう祭祀をしない家庭もあれば、料理を買ってすませたり、女性がそれぞれ作った料理を持ち込んだりする家庭も徐々に増えつつあるようです。一方、久しぶりに会う家族においしいものを作ってあげたいというおばあちゃん、お母さんたちもいるわけで。

 

いずれにしても世代が変われば風習もどんどん変わっていくでしょう。その時には昔は大変だったなあと懐かしく思う日がくるかもしれません。

 

おつかれさま~ 

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